2012年9月11日火曜日

痛みや不快感への順応、治療方針と医療機関の選定

体調不良の原因が何か理解するまでは、毎朝生きて起きる事に胸を撫で下ろし、生存確認!!と掛け声を出し起き上がっていた。
他者も認める程に痛みに強いはずだが、痛みで痙攣をしたり、気を失いかけたり、涙が出るのは初めての経験だ。
当初は気を抜けば意識は朦朧として、毎晩襲ってくる体中を駆け巡る熱波や、体の中に通り魔でもいるのではないかと思えるような刺されたり殴り付けられるような痛み、毎日の突発的な高熱、食欲はあるのに量を食べる事ができないジレンマ、赤茶色の尿の色から想像される胆管の詰まりや肝障害、痛み止めを服用する事による便秘から派生する様々な症状、頭痛や腰痛と不快感のオンパレードで今までの生活が一変してしまい、せめて健康な時の体調に近付けようとする退屈しない毎日を送っている。

初端から高い数値を叩きだすCA19-9は私を悩ませる。
痛みの度合いを可視化して誰かと比べる事はできず、同じ病気を患う方々の症状と比べても同感できるだけで、痛みや倦怠感についてもベクトルが違うのではないかとさえ思うほどに辛く、他者のマーカー値の報告を見ても、自分がどんなレベルにいるのか検討がつかない。
昔から多数派の中に身を置く事が少なかった事もあり、病気になっても一人で悩み成長していかねばならないのかと頭を抱えている。

私はかなり楽観的だが、失敗の許されない課題に取り組む時は、何度もチェックを重ねて完璧にクリアしないと気が済まない性格をしている。この性格が災いしてか、痛みで意識が無くなりそうな時を省き、痛みの理由と発生源がどこなのかを自分が理解する迄は痛み止めを飲まないという方針をとっている。
医療関係者は痛みを我慢する必要はなく、痛み止めを飲んでQOLを上げる方が大事だと説くが納得できない。様々な症状を抱えてスタートした私に対し、症状を訴えても原因を突き止めようともせず、痛み止めを飲んで現実逃避(問題の先送り)をさせるという事は、当事者からすれば無責任極まりない行為としか受け止められないし、メカニズムを見ても体を不活性化させてしまうだけだろう。
しかし、痛みに慣れないうちは、安易に痛み止めを飲んで痛みをとっても原発がどこかわからない故の心痛が残るという事があり軽い鬱状態に陥る事があった。
今は臓器の場所から役割まで頭に叩きこんだので、以前と比べると1/5程の時間で対処できるようになった。
こうやって癌というものに順応して当たり前の存在になり、拒否する事から共存する事へ意識が変わっていくのだろうか。そんなのはまっぴらごめんだ。

私が辿り着いた薬を飲まずに痛みや不快感を和らげる方法を残したいと思う。臓器の位置を確認→役割を確認→どの機能が低下すると症状が起きるのかを確認→体の不調を見つめる→痛みや不快感がある場所は想定した原発部分を擦ったり押してみる→ビンゴしていれば揺すって振動を与えてみる→詰まりは解消される場合がある→解消できなければ跳ねたりして体全体を揺すってみる→解消できなければ痛み止めや薬を飲み、課題は頭ががはっきりしてからクリアしていく過程を踏んでいる。
私にとって一番効果的なのは、自分の好きなリズムに合わせて体を振動させながら揺らす事だ。
一人の時は好きな音楽をかけて踊り狂っている。
どう踊っていいかわからない方もいらっしゃると思いますが、膝を上下に小さく動かし上半身まで振動させ、腕をリズムに合わせて左右に降るだけです。リズムにのって気持ちが上がってくれば、両手を下に強くおろしたり、両手を上に突き上げ飛ぶようなイメージをしてください。慣れてくれば体は自然と自分が気持ちの良い動きをしだすでしょう。
この振動を与えるという事は様々な症状を軽減できる場合が多いので、悩んでいる方はチャレンジしてみてください。
気持ちが上がる音楽が手元に無い方は、右袖のリンクから、MIXSELEKTAにアクセスして心地良い音を探してみてください。
15分もリズムにのっていれば汗をかいて、体が活性化するし馬鹿馬鹿しくなって痛みが軽減されますよ!!


次に、治療方針をどうするかを考えた。
自分の免疫力で癌が消滅してくれる事が一番の望みだが、そう事がうまく運ばないのは世の常だろう。
治療中に行き詰って右往左往するような事は絶対にしたくない。
不安は免疫力を下げる上に、癌に対して最高のご馳走を用意するようなものだ。
大和男児なら一度腹をくくったら最後までやり通し、行き詰まれば腹を据えるべしだ。

治療方針を考えるにあたり、最大の武器は知識と考えた。
無駄に知識を蓄えるだけでなく、価値観を共有する為の賛否両論の意見、情報を精査する力も必要になる。
経験に勝るものは無いが、医療に従事ている訳ではないので、この部分は医師に頼らないといけない。
しかし、不調を訴えても100%対応できる医師はいないし、患者の声に多く応えられる名医と言われる方に出会えるチャンスや、遠くまで足を運ぶ元気は無いに等しい。
下記に理由を述べるが、医師は、医療機器を扱えて、薬が処方できる、手助けをしてくれる、程度の存在と思っておいた方が良いと考えた。
まずは血液検査の結果を自分だけで理解できるように役割を頭に叩き込み、関連性や数値の悪化から招く症状などを理解していった。
次に臓器の役割を覚えて、膵臓癌が理由で併発する症状を理解していった。
次に経験不足を補う為に、同病者のネガティブな情報を集めた。
経営学と同じで、先人が失敗した理由を頭に入れておけば、損失が低い段階で余裕を持った方向修正ができるはずと考えた。
死という結果に辿り着いた方の過程を調べて、ターニングポイントの治療方法や変化をリスト化した。
これらの一連により、現実を理解して自分の置かれた状況を受け止め、無謀(無価値)な治療を排除する事ができた。

国内外問わず様々なサイトを読み漁ったが、膵臓癌に対しての情報は横並びだった。
この病気と付き合う為に特に参考にしたサイトを紹介したいと思う。
すい臓がん闘病記(広島 膵臓癌 お気楽闘病記) - だいとうちゃん様
モチベーションを維持する事、手軽に採用できる民間療法を学びました。
膵臓癌と闘う - nob様 - 膵臓がんとは?
膵臓癌を始め、がん治療についての基本を学びました。
ステージIVb告知後の軌跡 - JP様
自分を見つめて治療方針を考える事を学びました。
がん患者のあきらめない診療室 → がんの治療情報 → ■肝、胆、膵臓がん
標準治療以外にも道が残されている事を学びました。
(全てリンクの許可は頂いていない。後生です、許してください。)

私が選んだ治療は、標準治療+生活の質を高めて免疫を活性化+先手を打って血液検査の数値を基準値に近付ける→抗癌剤3クールの投与で手術に持ち込めないのなら、アブラキサン等の効果の見込める未承認薬を含めた抗癌剤の投与、適応するのならサイトカイン療法、様子を見ながらLAK療法を選択した。
現実を受け止め、治す・何とかなる、といった淡い期待はできるだけ抱かないと決めた。
放射線治療については手術する事があれば、術前に当てて欲しいと思う程度だ。
放射線治療を受ける事による弊害や、様々な方の経過を見ると腎臓への負担などを考えると率先して受けたいとは思えない。
様々な治療方法があり、他にはミニ移植と重粒子線がん治療に興味を持ったが、前者は近いうちに話を聞きに行こうと思っている。後者は受けた方の経過を辿っても高額の割に確実性がないので誰かが無料でどうぞと勧めてくれない限り知らなかった事にする。
あわよくばオペに持ち込めればと思っているが、現存する治療では博打にもならない出来レース状態だ。
よって、いかに生き延び続けるかに重きを置いた。
IPS細胞の理論を応用した様々な治療、ホウ素中性子捕捉療法と魅力的な治療が、手が届きそうで届かない位置にぶら下がっている。
エラーのあるソフトウェアにパッチ当てるように、人体のエラーを修正できる時代も目の前だ。
発症が5年遅ければ選択肢の幅が拡がったはずと思うと悔しくてたまらない。
オペに持ち込めなくても、治験などが始まるまでは何とか生き延びたい。

抗癌剤については1回目の投与まで猶予があったので検討を重ねた。
切除不能の膵臓癌に対しては、癌を縮小させてから手術をしましょうと希望を与え、抗癌剤の投与を行う標準治療を勧めてくる。
自分がこのような事態になるまでは抗癌剤=癌を治す薬程度の認識だった。
膵臓癌に対してはジェムザールやTS1を用いての延命治療や緩和が主体であり、標準治療が稀に良く効く人やジェムザールが効いて体調もよい資金に余裕のある人が+αの治療を受ける事で生存競争に少し残る時間が増えるといった印象を受けた。
インターネットで抗癌剤への考え方を検索すると、言葉は悪いが、惰性で受け入れる方、抗癌剤を受けずに流れに身を任せる方の2グループに別れている印象を受けた。
「人生に選択肢は二つあり、必死に生きるか、必死に死ぬか」という言葉がある。
まさにこの選択を迫られている状況において、家族や私を必要としてくれる人に誠実でいたいのであれば、自分が満足な結果を出していない現状を踏まえると、自分の意見を主張する事は許されないと考えた。抗癌剤を受けるか受けないかを考える余地は無いと結論付ける事ができた。
浸潤性、ステージ4と、自分の置かれた身を考えると、体中を駆け巡り飛び散った微小癌細胞に対して抗癌剤無しに膵臓癌に立ち向かうのは無謀の一言に尽きるので、生検の結果を見てその場に流されようという考えを持ち、惰性で治療を受け入れるグループの仲間入りを果たした。
根拠なく自分の意思だけで、抗癌剤を拒否する勇気を持つ方に敬意を表したい。
私が独り身で目標もなければ、よく調べもせず抗癌剤や治療を受けず、その時間と資金で自己免疫を高めるという名目で遊び呆けたかもしれない。
体の不調が胃薬や炎症止め等の投薬でどうにかなっていれば、抗癌剤の投与は引き延ばしていたと思う。
1クール終えてからは、食事も少しずつ増えてきて、今は頑張れば人様並に食べる事ができる。
生存競争に少しでも残る事ができればチャンスに巡り逢えるかもしれない。


次にどこで治療を受けるかを考えた。
幸か不幸か都心に住んでいるので選択肢はある。
風邪や骨折のように医者の言う事を聞いておけば時間が解決してくれる問題ではなく、投薬量から自己免疫の活性まで自分で意識を持たないと解決できないシビアな問題だ。
パターナリズムの考えで接してくる病院と付き合えば命を削られる可能性がある。
時代はインフォームド・コンセントに変わったといえども、今まで接してきた病院やネットで調べた感じでは、口うるさい患者に対しては、自己責任で勝手にしてください、度が過ぎると突き放します、という認識にすり替えられている印象を受け、積極的な治療からは遥か遠ざかっているような印象を受けた。
自己決定権を行使できるか重視する事も必要だが、患者のバックボーンや、医療機関の立場上の問題もありシビアな問題なのだろう。
勤務医程度の知識なら、必死な状態であれば経験以外はすぐに追いつく事ができる。
いかに自分の望む治療を医者に手助けしてもらうかという意識を持てるかがキーポイントだと気付いた。
患者が自己決定権を行使できる=自費診療の医療機関であったり、規模が小さいオーダーメイド治療ができるような有名な医療機関となりがちだが、前者には金銭的な問題が生じるし、後者には患者が殺到していたり得意不得意もあり対応の可否で先を左右される事だろう。
治療方針が合わない、納得できる結果が出ないという理由で、癌難民になって病状が悪化しては元も子もない。
情報を漁っていると、上記のような状態に陥っている方が意外と多く、何とも言えない気持ちになっが。
命は一つ、人生一度きりだ。
結果を他人のせいにする事も後悔する事も意味は無く、初動の選択ミスは許されない。
また、大きな病院は設備が整っているが時間がかかったり小回りがきかず、残された時間を無駄にする可能性もある。
私は、全国規模の総合病院、癌専門病院、未承認薬も扱っている個人病院の3つの病院に関わる事にした。
・総合病院は、大森赤十字病院を選択した。
最近建て替えたばかりという事もあり設備も最新の物で、責任者のポジションに立っている方も新しい病院の為か経歴が素晴らしい方が揃っている。どんな問題をぶつけても全国規模でカンファレンスしてもらえる事もあり、膵臓癌治療で有名な病院ではなく、利便性とメリットに重きを置いた。
・癌専門病院は、がん研有明病院を選択した。
専門の医療機関という事もあり、紹介状を持って挨拶に行った時の説明、カンファレンス結果後の治療方針の説明、もしもの時に間接的安楽死までこなしてくれる緩和ケア病棟まで備えている事もあり、淡い期待を抱かせるような治療を提案してくるような所ではないようなので身を委ねる事にした。
がんセンター、東大も検討したが、評判や方針を見ると自分に合わないと感じた。
・個人病院は、賛否両論があるので名前を伏せる。
最新の抗癌剤治療の発信をしている事と、ネットの賛同者の意見から興味を持った。
1stコンタクトでは、積極的な治療を望む姿勢の患者しか受け入れないといった印象を受けた。
医師の姿勢、患者が抱える問題への対応、看護師の信頼感、何をとっても素晴らしい。
しかし、個人病院という事もあり、上記2つの病院と関わりながらでないと不安が残る面もある。
これは設備の問題なので致し方ない部分だ。
命を預ける病院を選ぶ選択肢があるのであれば、紹介状を書いてもらう前に十分に検討をする事と、よき理解者のいる病院をキープしておく事を強く勧める。


最後になるが、4a以上の膵臓癌という現実を突きつけられて、これからどうするか考える方に、たくさんの方の軸跡を辿り、様々な治療を調べた結果を根拠に3点のアドバイスをしたい。
・医師や妙な情報に左右される事がないように知識を蓄える
・甘い見積りではなく、厳しい見積りで自分に残された寿命を計り、病気以外の問題を早急に明確にして解決する
・最新の治療や抗癌剤などの情報を調べて自分が何をどこまでやりたいかを考え、経済負担を軽減する為に治験や御縁を活用して治療方針を構築して治療を始める

知識を蓄えるうちに、とても辛く厳しい現実に辿り着きますが、逃げる事はできない上に、現実逃避は体が許してくれません。
葛藤は時間が解決してくれます。
果敢に挑み後悔のない道を歩んでください。
幸運を祈ります。

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